渡辺コラム

薬のリスクと向き合うことは素晴らしい

ステロイドや痛み止め、片頭痛の薬などの即効性のある薬の登場や、高度な手術が登場して、現代人は症状を抑えることに対してとてもせっかちになったように思います。

これらの薬は数十分あれば効果が出てきますので、それに慣れてしまえば数時間の苦痛がとても耐えがたいものになってしまうのかもしれません。

少し昔だと「唾つけときゃ治る」「寝とけば治る」と言ってたような病気でも「すぐに病院に行け!」となり、数日改善しなければ「病院を変えろ!」というような感じになりました。

それの何が悪いのか?と言われると、薬に頼り過ぎることで体の自力が付かなくなってしまう場合や薬の副作用によるマイナスを背負うことがあるということです。

例えば、慢性的に副腎皮質ホルモン剤(通称ステロイド)を使っていると、免疫機能が低下して感染しやすくなることや、外から副腎皮質ホルモンを入れることで自身の副腎が怠けてしまうことも知られています。

また、抗生物質を幼少期に過度に使うと、本来びっしりと腸壁を覆う腸内細菌が斑状になり、その後自己免疫疾患のリスクが高まることが知られています。自己免疫疾患ではとてもつらい日々を過ごさなければならない場合もあります。薬の影響が年何も経って響いてくることがあるのです。

薬には副作用がつきものと言いますが本当にそうなのです。乳酸菌製剤など極一部の薬を除いて、副作用の書かれていない薬はありません。

それともう一つ知ってもらいたいのは、薬のリスクを考慮している人たちに大きなストレスを与えることです。

「わけの分からない努力してないで病院行って薬もらえ!病院で薬をもらうのが一番!」。
子供を病院に連れて行かない親に「子供が可哀想...」などと言ってしまう様子があります。

前述した通り、薬は生涯に関わるリスクがあります。そのリスクを考慮して一生懸命他の道を探ることは親として尊い行動だと僕は思います。

すぐに治してやりたいという優しさからくる言葉だとは分かるのですが、リスクのない方法を模索している方にとってはとてもプレッシャーとなってしまいますので、命に関わる病気でなければ結果で焦らず、少し長い目で様子を見てあげてほしいと思います。

もちろんそのような取り組みをされている人たちの説明する力というのも大切です。上手に説明できないと分かってもらえるものも分かってもらえないので、理解してもらうために説明する力をつけましょう。

ただ、逆に何がなんでも西洋医学を拒否する方もおられますが、それはそれで良くありません。特に緊急医療において西洋医学は圧倒的なパワーがあります。処置を急ぐ病気や怪我については、西洋医学の薬や手術を利用しましょう。その時に西洋医学を拒否したら、確かに「子供が可哀想...」になってしまいます。

バランスの良い考えを持ち、その人の意図を理解しできれば人間同士が作るストレスが小さくなりますし、「そういう考え方もあったか!」と学びにもなると思います。

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